「日本国憲法の改正手続に関する法律」の施行の停止・凍結を求める

みやぎ憲法九条の会世話人会 
2010年6月1日 
みやぎ憲法九条の会世話人会2010年6月1日政府は、2010年5月18日に「日本国憲法の改正手続に関する法律」を施行した。同法が国会で審議されている際に本会の代表名で「慎重審議を求める要請書」を衆参両院議長に提出した(2007年4月3日付)。それにも関わらず、同法が強行採決され、また、今回、同法が施行された。同法は以下に述べるように種々の問題点を残している。また、現在、多くの国民が憲法とりわけ第九条を改正する必要性を求めていない状況等を考えると、同法を施行する社会的・政治的情勢には無いと判断する。よって、同法施行を速やかに停止・凍結することを強く求める。
1 同法は、以下に示すように多くの「積み残し」の案件があるにも関わらず、それらを無視して同法に施行日が規定されているという形式的理由だけによって「施行」したことは、国民に対する背信行為と言わざるを得ない。
2 同法の施行に当たって、主務官庁である総務省は、一八項目の附帯決議については「政府・国会が何も結論を出していないので、同法の国会議決どおりに施行した」と説明している。
3 私たちは、同法の施行は単なる手続の問題で片付けられる事柄ではなく、国会決議の一八項目が全く検討されないままに、施行されたことに対して極めて遺憾の意を表明する。その理由は以下の点にある。
(1)同法は、国会の採決に当たって、国の最高法規である憲法の改正手続という極めて重要な案件について、審議が充分に深められないまま当時の与党が強行裁決に持ち込むことに踏み切ったため、実に一八項目に亘る「附帯決議」が付されたという、著しい「欠陥法」である。
(2)附帯決議には、例えば、「投票に当たって最低投票率の規定がない」「投票権者を18歳にする件は、本条文では18歳としつつも『附則で関連法の整備がなされないうちは、20歳以上が投票権者になる』」という抜け道を作り、また、「総投票数のうちの有効投票数の過半数で賛否を決める」「公務員・教員の運動に規制を加える」等々、最高法規である憲法の改正手続としては、多くの国民の意思が反映し難いという、憲法改正推進という一部の意見に有利になる仕組みになっている。そのため、国会の附帯決議でそれらを改善することになっていたにも関わらず、政府・国会はこれまでこれらについて何一つとして検討した形跡が見られない。
4 以上のことから本会は、国会及び内閣が「日本国憲法の改正手続に関する法律」の施行を、直ちに停止・凍結することを強く求める。
以上