普天間基地移設問題についての緊急見解

みやぎ憲法九条の会世話人会 
2010年6月1日 
1 鳩山内閣は、2010年5月28日に、「日米共同声明(2010.5.28)」に沿った普天間基地移設について次の内容を「当面の政府の取り組み(閣議決定)」として、発表した。すなわち、「日米ロードマップ(2006.5.1、注)」を確認し、「幅広い分野における安全保障協力の推進・深化」の下「普天間基地の移設計画を進めていく」ことを表明した。
2 これは前政権の計画と基本的には何も変わらない。鳩山首相は、昨年から「宜野湾市普天間基地は県外へ、国外へ移設」「最低でも県外へ」と何度も言い続けてきた。これに沖縄県民は、沖縄の半世紀以上にわたる米軍基地による苦しみが少しでも軽減されるという大きな期待を寄せてきた。
また、上記の「閣議決定」が、アメリカ政府とだけの合意で行われ、最も優先すべき沖縄県民の同意無しに行われたことで、鳩山内閣の「政治的立ち位置」が極めて明らかになったと言えよう。
3 今年の4月25日の沖縄県民大会決議で「沖縄県民は去る大戦の悲惨な教訓から戦後一貫して『命どう宝』、基地のない平和で安全な沖縄を希求してきました」と述べているように、沖縄県民の心は「命・暮らし・財産(農地)を守る」ことが最大・共通の願望であり続けた。それを今回の「閣議決定」は粉々に砕いてしまった。

4 鳩山首相は「勉強すればするほど、沖縄の米軍海兵隊の『抑止力』の重要性がよくわかった」と述べた。そもそも「抑止力」とは「力」で相手を「排除」するという意味がこめられている。これは憲法第九条が否定する「・・・武力による威嚇」に該当する。また、鳩山首相の上記の発言から、普天間基地移設問題では「抑止力」がキーワードとして浮上してきた。沖縄の海兵隊は、常時、イラク・アフガン等に出撃しており、常時沖縄に駐留しているものではない。日本にとっての「抑止力」として機能しているわけではない。

5 私たちは、沖縄県民の心を何よりも大切にして、当面は、普天間基地の即時無条件閉鎖と完全撤去を求める。また、緊急措置として、沖縄県民の「命」「人権」「暮らし」「財産」を守るため「日米地位協定」を抜本的に改善することを強く求める。これらは、鳩山内閣が沖縄県民の願いに真に応える唯一の道である。

6 日本国憲法第九条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する、・・・陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定している。この理念・規定に照らせば沖縄に世界屈指の軍事力を持つ外国軍隊をいつまでも常駐させることは論外である。

7 私たちは、沖縄の心を花開かせるためにも憲法第九条の規定・理念に沿って、上記2,3,4を前提に、上記5の措置を早期に、且つ確実に実現するよう、政府が米国との交渉で実現することを強く求める。

注: 「日米ロードマップ」の普天間基地を辺野古に移設する内容の「要点」は以下のとおりである。

普天間基地飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される2本の滑走路はそれぞれ1600mの長さを有し、2つの100mのオーバーランを有する

普天間飛行場代替施設の建設は、2014年までの完成が目標とされる。

普天間飛行場代替施設への移設は、同施設が完全に運用上の能力を備えた際に実施される。

以上