[声明]2020年憲法記念日にあたって

宮城県内九条の会連絡会運営委員長 相原研一
みやぎ憲法九条の会事務局長 板垣乙未生

2020年5月3日

1947年5月3日の施行から73年、2020年の憲法記念日を迎えました。

2020年は、安倍晋三首相にとっては、2017年5月3日に「いまの憲法9条に、自衛隊を明記し、その『改正憲法』を2020年までに施行する」と明言したその年にあたります。それ以来の3年間、私たちは、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起する署名活動や街宣、集会などを行い、改憲発議を阻止するために力を尽くしてきました。

一方、新型コロナウイルスの感染が拡大し、「緊急事態宣言」をも発出したような現状況にあっても、安倍首相は自民党の改憲4項目に触れて、「緊急事態条項の創設はきわめて重く大切な課題だ」と述べ、憲法審査会での改憲論議を呼びかけています。日本の市民社会全体が「いのちの確保」に全力を尽くしているなか、この情勢を利用して危険な改憲論議を進めようとする安倍首相の姿勢は断じて容認できません。

第二次安倍政権発足以来、集団的自衛権の行使容認、安全保障関連法(安保法制)の改悪、特定秘密保護法や共謀罪法の強行成立など、戦争する国づくりが押し進められてきました。また,違憲の安保法制も口実にしたアメリカからの武器の爆買いと専守防衛からの逸脱が、9条改憲を先取りして、強引に進められています。さらに、中東海域への調査研究名目での自衛隊艦船の派遣という脱法行為も始められました。これらの暴走の行きつく先を「憲法9条への自衛隊明記」に断じてさせてはなりません。

一方、憲法と民主主義を侵害・蹂躙する安倍政権の暴挙が止まりません。森友・加計学園疑惑、「桜を見る会」などでの行政と税金の私物化、公文書の隠蔽・改竄などが露見しました。さらに、安倍政権は、辞任した大臣の責任、検事長の定年延長、IR疑獄などの問題をあくまでも隠し通そうとしています。とりわけ、森友学園疑惑では、文書改竄を命じられ、自殺に追い込まれた近畿財務局職員の妻が、「真相解明を求めて国等を提訴する」という新たな展開を見せています。

いま、新型コロナウイルスが世界中の人々を生命の恐怖にさらし、不安に陥れています。政府が緊急に行うべきことは、国民はもちろん日本に住む全ての人々のいのちと暮しを守ることです。安倍首相は、緊急事態宣言に基づいて、様々な業種に休業を要請しています。しかし、極めて不十分な補償が大問題になっています。また、感染のまん延を防止するため、PCR検査の飛躍的拡大と医療崩壊の回避も喫緊の重要課題です。国民には「マスク2枚」と「一律10万円」の支給でことを済ませようとしていますが、それだけでは不十分です。私たちは、不要、不急の軍事費を削減し、新型コロナウイルス対策に税金を大幅にあてがうことを強く求めます。

日本国憲法前文は「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と高らかに宣言しています。いま、私たちのなすべきはこの精神に則り、世界中の人々を危機に陥れている新型コロナウイルスの危険の除去であり、そのための国際連帯です。それは「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想」の実現であり、そのことは憲法9条の実現の道でもあります。

以上、2020年憲法記念日の声明とします。