「憲法9条を守り生かす宮城のつどい2021春(開催中止)」の主催者 挨拶文
みやぎ憲法九条の会事務局長 板垣乙未生
本日はお忙がしい中、「宮城のつどい2021春」にご参加を賜り、有難うございます。
昨年の12月6日に落合恵子さんと松元ヒロさんのお二人をお迎えして「宮城のつどい2020」の開催を企画したのですが、新型コロナウイルスの影響が大きく、開催中止に追い込まれました。今年は、本日の松元ヒロさんのオンステージと11月24日の落合恵子さんの講演会との春、秋2度の「宮城のつどい」を開催することに致しました。「宮城のつどい」への皆様方のご参加を今後とも宜しくお願い申し上げます。
さて、皆さんのお手元のプラグラムに情勢について記述しておりますが、ここではごく手短にご報告させて頂きます。
今年は日本国憲法公布75年に当たります。コロナ禍による危機が大きく広がる中で、日本国憲法の理念と価値が非常に重要になっています。憲法前文に書かれている「国民が恐怖と欠乏から免かれ、平和的に生存する権利を有する」という「平和的生存権」の理念は、憲法第25条で明文化されています。すなわち、「全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。」と明文化されています。このコロナ禍の中で、国民のいのちと暮しを守ることが平和的生存権の今一番に大きな課題です。皆さんの多くもそう思っておられることでしょう。
日本国憲法のもう一つの大きな理念が「恒久平和主義と戦争放棄」です。この理念に基づいて憲法第九条を守り生かすことは、九条の会が一貫して掲げてきた重要な課題です。本日の松元ヒロさんのオンステージ「憲法くん」の企画は、この課題に非常にマッチしたものだと私は考えております。
さて、皆さんの多くがご存知の歴史作家の半藤一利さんが今年の1月12日に逝去なされました。享年90歳です。同じ歴史作家で半藤一利さんの長年の友人・知人である保阪正康さんは、半藤一利さんへの追悼のメッセージを述べています(J-CASTニュース(2021年2月13日))。保阪正康さんは歴史作家の第一人者といわれる非常に著名な方です。毎週土曜日の昼にBS―TBSで放映されている「関口宏のもう一度!近現代史」のコメンテイタ―を務めておりますので、皆さんの多くが保阪正康さんをご存知のことでしょう。私は、半藤一利さんへの追悼メッセージを読んで深く感銘を受けました。その一部をここで読み上げて、皆さんにご紹介させて頂きます。
「半藤さんは重要な実を指摘していた。「100年」を単位として捉えよ、ということであった。どんなことでも100年続くのであれば、それは強固な意思になるという考え方であった。私も半藤さんも憲法について独自の考え方を持っていた。「とにかく現在の憲法を100年持たせよう」という考えであった。そうすれば不戦が日本の国家意思になるであろうというのがその理由であった。私と半藤さんは、そのために講演会などで最後にでも必ず、「憲法100年持続説」を口にすることにした。」
私は、この保阪正康さんのメッセージを読んで、「これから少なくとも25年の間、「九条変えるな!」の声を保阪さんらと共に上げることができるのだ」と強く思いました。皆さんはどのように思われたでしょうか?
ところが、半藤さんや保阪さんの願いとは全く逆に、安倍晋三首相は2017年5月に「いまの憲法9条に自衛隊を明記し、その憲法改正を2020年までに施行する」と明言しました。しかし安倍首相は昨年8月の辞任会見において、「憲法改正、志半ばで職を去ることは断腸の思いだ」と悔しさを滲ませました。一方、「憲法改正は自民党として約束した政策であり、新たな体制の下、実現に向けて進んでいくものと確信している」とも述べて、後に続く首相に大きな期待を寄せています。
これを受けて菅義偉首相は、改憲原案起草委員会を自民党内に新たに立ち上げ、そこで固められた改憲原案を憲法審査会に提出しようとしています。そして、その前段階として、与党が提出している国民投票法改定案をできるだけ早期に成立させることを企図しています。現在の国民投票法では、最低投票率が規定されていない、資金力のある政党がほぼ無制限にコマーシャル宣伝ができる、などの大きな欠陥を有しています。しかし、これらの欠陥を棚上げしたまま部分的な法改正で済ませ、その次に、改憲原案作りを憲法審査会で押し進めようというのが自民党の狙いです。改憲の国会発議の誘い水となる憲法審査会の開催を決して許すことはできません。
こうした中で、「アベ・スガ9条改憲」を食い止める大きな運動が私たちに求められています。衆議院選挙が予定される中で、国政の刷新を求める多くの人々と手を携えて、改憲発議を必ずストップさせましょう。
(2021年3月21日起文)