ぞう列車がやってきた

世話人 岡村朋子

今年(2019年)6月末に【ぞう列車が走って70年 全国つながりコンサートin東北】を終えたばかりです。

この演目は戦時中全国の動物園が「猛獣は危険だから殺せ」との軍の命令で心ならずも虎やライオン、熊などを殺した時、命がけで2頭の象を守った名古屋の東山動物園へ、戦後、子どもたちを乗せた列車を走らせた実話を合唱構成にしたものです。

70年前の日本でこんな素敵な出来事があったなんて今の日本では考えられません。東京の「子ども議会」で「おもちゃもお菓子も我慢するからぞうさんを見せて」と要求し、代表を名古屋まで送りだした子どもたち、その熱意が国鉄(国有鉄道・現在のJR)やGHQ(日本に駐留した連合軍総司令部)までも動かし実現させたことは、まさに憲法の心の実現だったのでしょう。日本の敗戦によって1947年に新憲法が施行されて、その2年後(1949年)のできごとでした。

あれから70年たった今、私たちは、子どもたちに何を残せるのでしょう。戦争する国、密告を奨励する国、自国の言葉も満足に覚えないうちから外国語を学ばなければならない国、お上に絶対服従の道徳を教える国、ゆとりを無くして考えない教師を作る国ですか? 嫌です。こんな国!憲法の心が本当に実現される国に作り変えなければ死んでも死にきれません。基本的人権の尊重・国民主権(民主主義)・平和主義は真に生かされなければなりません。

合唱構成「ぞう列車がやってきた」のステージで歌い、踊った60人の子どもたちは、ほんとに可愛いかったです。小さな子も大きな口を開けて歌っていました。「小さな僕たちでも心を一つにすれば夢だってかなうと信じよう今こそ」と。