片平九条の会 「ひろしま」の上映会 感想

令和2年1月14日

「ひろしま」の上映会

片平9条の会 犬飼 健郎

2019年15月15日(日)に片平市民センターで、広島の原爆が子ども達に与えた苦しみを焦点にした映画「ひろしま」の上映会をしました。

この映画は、戦後間もない1953年に制作されたものですが、原爆の残酷さやアメリカ兵の黄色人種を見下す差別発言があり、当時のアメリカに批判が及ぶことに配慮して、大手映画会社は配給しませんでした。そのため、広島県・長崎県・日教組などが中心になり上映しましたが、その後長らくその存在が忘れられていました。それが最近、憲法9条改訂の動きや原爆不拡散条約への日本政府の対応をめぐって注目されだしました。

片平9条の会の世話人会で、この映画は自分達も見たいし、多くの人に見てもらおうということで上映会を企画したものです。

広島への原爆投下で街は一瞬のうちに壊滅し、2,3日のうちに7万人が亡くなり、その年の12月までに14万人が亡くなるという大惨事でした。この映画には、原爆直後の生徒達の苦しみ、それを何とか助けようとし自身も川に入るが力尽きて命を失う月丘雪路演ずる先生方等の様子に臨場感がありました。実際の現場は、血や死体の臭い、灼熱、うめき声など、もっともっと残酷であったと想像できますが、この映画は原爆の悲惨さを視覚によく訴えていたと思います。何より子ども達を含め8万8,000人の市民がエキストラとして出演して行進する様子を見て、この映画に対する当時の広島市民の平和への思いが伝わります。

原爆は多数の生命を奪っただけでなく、生き残った人も身体に傷害を負い、いつ死ぬかという精神的恐怖や経済的貧困・社会的差別に長い間苦しんできましたし、今も苦しんでいます。

故加藤周一氏が、憲法9条についてみんなが同じ意見になることはないと思うが、戦争の悲惨な現実を直視すれば、同じ9条改正を訴える人も考えが少しでも変わるはずだとおっしゃっていたことを思い出しました。

東北学院大学の学生6人程来ており、終わってから事務所で意見を交換し合いました。旧制の東北学院普通科を卒業した鈴木義男氏が、第一次大戦後の仏・独等を見て、その悲惨さに打たれ、戦時下でも戦争に批判的な発言をし大学を追われたこと、しかし、戦後東北学院大学の学長に復帰し、また国会議員として憲法9条の文言にも関与した話などをしました。この映画が若い学生に9条について関心を引き起こせたことは大変良かったと思います。